課題解決 Example

壁にぶつかった起業家たちは、どのようにして乗り越えてきたのか?
解決までの道を共に歩んだドリームゲートアドバイザーが語る。


第111回 株式会社リブセンス 村上太一 4

2010/06/03

第111回 株式会社リブセンス 村上太一 4


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"幸せから生まれる幸せ"を理念として新規事業を連発。
23歳の起業家が目指す、Webサービスの未来とは?

<リブセンス、起業!>
つらすぎる日々に耐えかね事業の売却を考えるが、
スタッフへの年初あいさつで継続を決断する

 大和総研でのインターンシップの最終日、コンサルタント20人くらいの前で私の事業プランを発表しました。最後に、「君はなぜそのビジネスをやりたいのか?」とコンサルタントの方から聞かれた私は、「やりたいから、やるんです」と答えていました。今考えても、よくそんなこと言えたなと(笑)。ビジネスプランコンテストで優勝してから半年間、IT系のベンチャー企業で営業のアルバイトをしていますが、それまで私はアフィリエイトやリスティングという単語すら知りませんでした。電話で法人営業するための基本もここで教わりましたし、社長や社員の方々にランチタイムや仕事帰りの食事に誘ってもらって、いろんなことを質問しました。この会社には本当にお世話になりましたし、今でも感謝しています。そんな準備期間を終えて、リブセンスをスタート。創業時の仲間は私を含めて4人です。1円起業の制度が始まった後だったので、私が200万円、プログラマーのふたりが50万円ずつ出資して資本金は300万円でした。

 Skypeで毎夜、毎夜、会議をしたり、朝7時に喫茶店に集まってディスカッションしたり。徐々にサイトの制作は進めていました。そして2006年4月、アルバイト求人サイト「ジョブセンス」のPC版、モバイル版のサービスを開始。当初は企業の掲載料は無料、応募1件当たり4000円の成果報酬型のビジネスモデルでした。創業前、初年度年商7000万円、2期目3億円というやたら右肩上がりの計画を立てていましたけど、1年目はまったくだめでしたね。役員報酬も半年後にやっと5万円です。僕自身はそれ以降も取っていない月がありますし。それでビジネスモデルを採用決定後の成果報酬、プラス採用が決まった求職者には祝い金も出すという仕組みに完全に切り替えたのがその年の11月。法人営業が格段にやりやすくなりましたけど、既存にないまったく新しいサービスです。リスクなしのモデルとして受け入れてもらえる自信はありましたが、本当にビジネスとして成り立つかどうかは不安でした。

 実は2006年の年末、売り上げが伸びず、先が見えない日々があまりにつらすぎて、知り合いの経営者に1本の電話をかけたんですよ。「社長、この事業を買ってくれませんか?」と。事業の畳み方自体わかりませんでしたし、お客さまがいるサービスを投げ出すわけにはいきませんから。その社長は、「わかった。でも、役員会議にかけないといけない。ちょっと検討させてくれ」と。そして年が明け、全スタッフを前にした当社の仕事始めの年頭あいさつで、「今年も頑張ろう!」とみんなに向けて話をしました。そしたらその雰囲気でスイッチが入った。まだまだいけるって。その後すぐに、オフィスの非常階段にこっそり隠れ、社員に聞こえないようにその社長に携帯電話で連絡しました。「すみません。やっぱり頑張ってみます」「そのほうがいい。それは良かったな」と。私は本当に感覚で生きているんですね(笑)。

<ひたすら仕事!>
様々な経験から多くの貴重な気づきを得て、経営者としての役割と仕事の要点を学んでいく

 その後、SEOを盤石にするため、ひたすら勉強して自社でツールを開発。2007年、「アルバイト」と入力すれば当社が検索サイトのトップに表示されるようになると、求人広告の掲載申し込みも、求職者からのアクセスもうなぎ昇りに伸びていきました。当時は本当に朝から晩までひたすら仕事をする日々が続いていて、平日の朝6時寝て、8時に起きるつもりが、夕方の4時に目が覚めたことがありました。おそるおそる携帯の履歴を確認すると、何件もの着信履歴。1日のアポイントをすべてすっぽかしてしまった。おまけにその日は、高校時代、私がバイトで大変お世話になった飲食チェーンの部長との約束があって……。大目玉をくらいましたよ。そうそう、この頃初めて全スタッフが集まった飲み会を開催したんです。この席で私が少し弱音っぽいことを言ったんですよ、確か。そうしたらスタッフのみんなが、「もっと頑張れるから任せてくれて大丈夫」みたいな雰囲気をつくってくれた。ああ、ひとりで悩んだり、踏ん張り続けるのではなく、もっと仲間を信じて頼っていいのかもしれないと、少しだけ気が楽になりましたね。

 初年度年商500万円が、2期目には7000万円へと大幅に増加しています。2008年5月に、社員向けの転職求人サイト「ジョブセンスリンク」のPC版、モバイル版のサービスを開始。こちらも簡単には軌道に乗ってくれませんでしたね。多くのバイトを募集する飲食店チェーンなどは、1社と契約すればチェーン他店舗の求人も、ほか様々な職種の採用も自然と拡大していきます。でも、社員採用は、基本的にひとつの企業にひとつの求人案件の場合が多いんです。なので、バイト採用に比べて、社員採用の企業開拓は難しい。また、私は「ジョブセンスリンク」の部門長にサイト運営の部分はすべてお任せで、転職サイトにはほぼノータッチ。これも良くなかった。そう気づいてから、彼と今後の展開について向き合って話をするようにしてみたんですね。やはり関心を持つということは、大切です。それ以降「ジョブセンスリンク」もいっきに良くなっていきましたから。社長の役割と存在意義の大きさを、改めて認識できた出来事でした。

 今では、「ジョブセンス」の掲載求人件数は2万件を超え、「ジョブセンスリンク」は約1000件強。ハローワークに登録されている求人情報も網羅しています。今のところ、世の中に良い影響を与えることができるメディアとして育ってくれているのではないでしょうか。ちなみに、「ジョブセンス」の1人採用当たりの成功報酬は3万円。「ジョブセンスリンク」は年収の20%。完全に採用されてから費用が発生するという安心感も手伝って、どんどん利用企業が増えています。当然ながら、当社のやり方を真似た後続企業もかなり出現。とある大手企業が子会社をつくって、成功報酬型の求人サイトサービスを開始しました。だから、もはや成功報酬というビジネスモデルの目新しさだけでは売れません。今後も、「なくなったら困る!」とより多くの方から思っていただけるサービスであり続けるよう、さらにサービスを進化させていく必要があります。

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