デジタルコンテンツの総合制作プロダクション / 株式会社ASIANEWS

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

全国第一号の確認株式会社

株式会社ASIANEWSの前身は、「ギャラック・レイ」というデジタルコンテンツの総合制作プロダクション。
主に報道番組の演出を手がける板倉さんと音響効果、撮影・編集のスペシャリストの3人でつくった会社である。

設立は特例制度が施行されたまさに当日、2003年2月1日。
「タイミングは自ら探すもの」という板倉さんらしく、全国第一号の確認株 式会社だった。

その後、身内からの出資や、役員からの貸付金を資本金に振り替えることで増資を達成したのは、2004年11月のこと。この制度を振り 返ってどのように感じているのか、起業への思いとともに聞いた。

板倉弘明氏
板倉弘明氏
1970年、島根県生まれ。テレビ番組制作会社勤務の後、フリーのディレクターとなり、ニュース番組制作に携わる。制作仲間とともに、2003年2月に現 物出資100万円を含む資本金350万円で、株式会社ギャラック・レイを設立。2003年6月に資本金700万円、翌年10月に910万円、11月に 1000万円へ増資、確認株式会社を卒業。2005年12月、ギャラック・レイの放送番組部門だったASIANEWSを独立法人化。

●会社概要
所在地/島根県松江市(ギャラック・レイ)東京都新宿区(ASIANEWS)
設立年月日/2003.2
卒業年月日/2004.11
会社設立当初の資本金/350万円

板倉さんが特例制度を知ったのは、中小企業挑戦支援法が国会を通過する1年ほど前のことだったという。

「取材で奄美大島へ向かう飛行機の中だったかな、同行 していた別のプロダクションの社長から聞きました。それはいいと思って、いつ施行されるのかアンテナをはって狙っていました」。

しかし、ただ漫然と時期を 待っていただけではない。

「特例制度の施行を待っている間にも、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれない。とにかく早く法人にしようと、通常の有限会 社としての定款まで作成していたんです」。

これほどまで早く会社にすることにこだ わったのには、理由もある。それは、「自分たちの番組をつくりたい」という強い思い。

「個人で番組をつくるときは、放送局に演出家としてのギャラを支払わ れる形になります。もちろん出来上がった映像は放送局のもの。どんなにいい作品ができても、その著作権を主張することはできません。放送局と同じ会社とい う立場になって初めて、著作権を50%ほしいというような交渉ができるんです」。

このとき板倉さんは32歳、ともに番組をつくる仲間もおり、機材もあった。ないのは1000万円の資金だけ。
まさに「おカネ以外のタイミングがすべてきて いた」のである。

そして、特例制度の施行という絶好のタイミングもやってきた。
有限よりも株式会社のほうが仕事の幅が広がるのが放送業界。
すぐさま定款を 書き換えて、確認株式会社ギャラック・レイが誕生することになる。

ひとりあたり年間40万円貯金すれば増資ができる

「タイミングを逃さずにすぐに会社がつくれる。
これが一番のメリットでしょう。
ほかにも、現物出資の認定や、増資などの諸手続きが簡単というメリットもありました」。

事実、ギャラック・レイは、現物出資100万円を含む資本金350万円からのスタートだった。
5 年の増資期限に関しては、特に心配もしていなかったという。

「まあ大丈夫だろうと思っていました。1000万から350万を引くと、650万。
僕たちは3 人で会社をつくりましたから、650万を5年で割って、さらに3で割ると、約40万。
ひとりあたり年間40万円貯金すれば達成できる。これなら全然無理な 数字ではないですよね。
1000万円と思うから心配になるんであって、割って考えてしまえば、気持ちはラクでした」

ふたを開けてみれば、数回の増資を経て、確認会社を卒業したのは設立の1年8カ月後。
もともとつくる番組には定評のあった板倉さんだが、法人にしたことで受注が増え、売り上げへとつながったことが、予定よりも早く増資達成ができた理由だという。

独自の視点でのニュース映像をつくるため、報道部門を独立法人化

そして、2005年12月。
ギャラック・レイの報道部門だったASIANEWSを独立法人化し、板倉さんはASIANEWSの社長として立つことになる。

「ギャラック・レイは企業や自治体から依頼を受けて、商業映像もつくる総合制作プロダクションです。
そうすると、報道部門としてはクライアントが取材対象 となることがありうる。
その場合、公正中立な取材ができなくなる恐れがあります。
だから、資本を分けた別会社にすることにしたんです」。

とはいっても、 まったく袂を分かったわけではない。

「これからは、ASIANEWSがオリジナルに作成した取材映像を、ギャラック・レイがDVDなどのオリジナルコンテ ンツとして商品化するといったように、ともに良い関係でモノづくりをしていこうと考えています」

URL: http://www.asianews.co.jp/

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