実店舗とまったく逆を行く発想の健康応援サイト / ケンコーコム(株)

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

020「売れ筋をつかみ、売れるものをいかにそろえるか」が、今のショップ運営の基本である。
変わりやすい顧客の好みに合わせ、POSデータを収集し、
できるだけ早く品揃えに活かしていく。

が、それとはまったく逆の発想で成功のモデルを築いた人がいた。
インターネットで健康関連商品のECサイトを運営するケンコーコム(株)の後藤玄利社長だ。

経営理念は、健康づくりを応援すること。

モノを売るだけでなく、健康づくりのために役立つコンテンツを用意するほか、
薬剤師や管理栄養士などの専門家を社員採用し、丁寧なアドバイスも行っている。

「ケンコーコムを立ち上げた当初、どうしたらお客さまに来ていただけるのか、本当に悩んだ時期がありました。
商品点数も30点程度で、バナー広告やメール広告を打つために月に何千万円も使ったのに、売り上げがゼロでした」

そんな中、気づいたのが、リアルショップとはまったく違う考え方で品揃えを行う、ということだった。

「イ ンターネットとリアルショップの最大の違いは、販売商品点数と商圏に限界がないことです。
例えば、街の小さなドラッグストアの販売商品点数は 5,000点、小さいスーパーでは 1万点と言われています。
それに比べ、弊社は現在数万点の商品を用意し、毎月1,000点を追加し続けています。
今後も 商品を増やし続け、リアルショップでは手に入らない商品をそろえるつもりです。
これはつまり、実際の店に行っても買えない商品ということ。
このよ うに欲しい人がいるのに店でなかなか手に入らない商品を集め、販売することでわが社は伸びてきた。
これができるのは、商圏が店の周辺に限られていないイン ターネットならではでしょう」

メガショップ「ケンコーコム」のサイトの特徴は、豊富な品揃えと、
顧客が求める健康・医薬品情報をわかりや すく解説し提供していること。
もちろん、商品検索から決済、配送まですべてウェブ上で完結している。
最近はやりのバーチャル感を競った派手さはなく、むし ろ顧客のニーズに忠実であろうという
実直さが伝わってくるサイト設計になっている。
要するに、買い物がしやすいのである。

立ち上げ当初 は、3商品で1日100件程度の出荷だったのが、いまでは1日1,000件以上の出荷に急増している。
ここまで膨張してくるとシ ステムの維持・向上が生命線を握ってくる。
この開発もまた後藤さん自身が陣頭指揮を執っているというから驚く。

ちなみに今、社内で使用しているシ ステムは、自らがプログラミングを手がけたもの。
さすがに今は時間がないが、簡単な修正なら、今も夜に手直ししているという。

また、アマゾン で有名なレコメンド機能も、ロジック構築を自ら行い、プログラミングにも携わっている。

東京大学を卒業 し、コンサルティング会社・アンダーセンコンサルティングに入社。
グローバルスタンダードの経営理論を学び、その後、実家の家庭薬メーカーを継ぐことに なった。
しかしダイレクトマーケティングの知識を活かし、新しいビジネスがしたいと、新会社を設立。
ダイレクトメールによる健康食品販売をスタートさせた が、99年秋に米国を視察し、
Eコマースが今後、流通を大変革させることを確信した。

特に、健康分野ではユーザのニーズが多様化している一方、商品が数多くあることを知っていたので、
ユーザニーズと商品をインターネット上でマッチングさせることが、ユーザの利便性を向上し、
健康づくりに役立つと考えたのだ。

そして、サイト開設からわずか3年で年商10億(2003年 3月期)を達成した。

 

【後藤 玄利氏プロフィール】

大分県生まれ。実家は80年の歴史を持つ地場の老舗製薬会社の創業家。
東京大学教養学部基礎科学科卒業。アンダーセンコンサル ティング入社。
94年に同社を退社し、実家のうすき製薬(株)に取締役として入社。
半年後に医薬品販売の関連会社の(株)ヘルシーネットを設立。
97年に うすき製薬(株)代表取締役に就任。
2000年にケンコーコムを立ち上げる。企業イメージを一層明確にするため、
2003年12月1日にケンコーコム株式 会社に社名変更。

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