育児現場の不安の声をきっかけに情報誌発行 / 株式会社リトル・ママ

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

株式会社リトル・ママ 森光太郎さん

育児の現場にて、社会への不安を抱える声を聞いたことが起業のきっかけに

森光太郎さん
 

 幼稚園や保育園、病院、育児サークルなどを通じて配布する無料の育児情報誌の発行や、クチコミで情報交換できるWebサイトの企画運営、フリーマーケットの企画開催…etc。
森さんの手がけるビジネスは、メディアを通じて育児情報を発信していくというものだ。

 広告代理店にて営業・制作を務めていた森さんは、育児関連のチラシ広告作成を手がけていたが、このとき、子育てに関わる現場のリサーチを重ねたことが、起業へ向かう第一歩になったという。

「無料で配布する育児情報チラシを手がけるうちに、もっといいものをつくりたいと考えるようになりまして。
幼稚園や保育園など、100カ所くらいの現場を 回って、園長先生にお話を伺いましたが、ほとんどの先生たちが何らかの社会への不安を抱えていると感じました。
朝食を食べない子供たちの話に、アトピーなどのアレルギー疾患や自閉症になっている子供たちが増加していること。
そして、子供をおびやかす事件が絶えないことなど、多くの問題を抱える社会の実態を 知ったんです。
子供や社会に対して何かできることはないかと考え、子育ての力になる質の高い情報を提供していこうと思いました」

熱を入れて情報発信していくうちに新聞の評判は高まり、
3カ月に一度の発行だったものが2カ月に一度になる。
しかし同時に、広告というものが持つ制約の大きさも感じるようになった。

「広告クライアントの増加にともない、売り上げが上がったために、上司から
『編集作業はアウトソーシングでやるから、営業に専念するように』
と言われたんです。
良質な情報を提供するからこそ、読者が増える。
部数が伸びることでクライアントにも満足してもらえるし、売り上げも上がるはずなんですよね。
これまで努力してきた内容の向上よりも営業に力を入れるという方針に違和感を覚え、
独立して自分の力で情報発信していこうと決意したんです」
 

多くの人の前でプレゼンテーション。
頭の中にあるものをきちんとアウトプットできるようになった。

森さんは、2001年に育児情報フリーペーパー「リトル・ママ」を創刊。
後にWebサイトの展開や、子育て中の母親への マーケティングリサーチなどの事業を展開する。

事業の完成形が見えてきた4年目、次のステップのためにビジネスプランコンテストへ応募することに。

「地元・福岡だけでなく、他都市での展開を考えていたんですが、やっぱり全国的な知名度と人脈がほしいな、と。
賞金で資金調達をしたい気持ちもありました。
それに、有名起業家の前でプレゼンできるなんて面白そうだなと思ったんです。」

予選が始まる前から発声練習なども行い、プレゼンテーションの練習を重ねた。

「ビジネスプランに自信はありましたが、どんなに質の高い内容でも、
自分の頭の中にあるものをきちんとアウトプットできないとダメだと思ったんです。
ビジネスコンテストでのプレゼンという大きな舞台に上がる機会を得たことで、
人前で話す度胸や技術が身に付いたと感じます」

予選にて優勝した森さんは、本選に進出。
健闘したものの、大賞は逃してしまう。

しかし、この惜敗の経験は、次の展開へと向かうための力になったという。

「今後の事業展開を多くの人の前で発表できたことで、
『有言実行でこのプランを前に進めていく!』
という思いが強固なものになりました。
自分のビジネスが 大舞台で認められたことで、新たな自信も生まれましたね。
とはいえ、絶対に勝てる自信はあったので、大賞を逃したことは本当に悔しかった。
このリベンジ は、ビジネスで日本一になることで果たすつもりです!」
 

出資や提携の申し出が増加し、マスコミ露出で全国デビューも果たす

ビジネスプランコンテストの経験は、森さんに人脈という新たな財産を残した。
出資や提携を申し出る会社が増加するとともに、他都市展開への有益なアドバイスをくれる人々とのつながりもできた。

「ベンチャーキャピタルなどから声がかかるようになりましたし、
『リトル・ママ』の事業を自分の街でやりたいという提携の申し出もいただきました。
Web 事業をやっている方や広告関係の方など、情報やアドバイスをくれる方とのつながりも生まれ、
今後の足がかりとなってくれる人脈ができたと思います。

また、 『日経ビジネスアソシエ』などの全国規模のマスコミに取り上げてもらったことで、知名度がアップしましたね。

福岡でその実績が生きているようで、取引先も 安定し、売り上げは130%アップしました。
出場のときの目的を2つとも達成できたと思います」

2006年6月には、有限会社から株式会社化し、社名も『リトル・ママ』へと変更。
次の展開へ向けて、着々と準備を進めている。

「多くの人と出会ったことで、
『地元ではナンバー1シェアの育児情報誌と言えど、福岡展開のみでは井の中の蛙になってしまう』
とあらためて感じました。
新 たな人脈を生かして、東京進出しようと考えています。
この事業の目標は、
『ママと子どもを応援する企業をつくる』
というものですから、全国各地にこの情報を行き渡らせ、より多くの人々に活用してほしいんですよ。」

森光太郎さんプロフィール

森光太郎さん

1972 年福岡県生まれ。新卒でジュエリー会社に就職するが、翌年に退職。広告会社への転職を目指して、デザインの専門学校に1年間通う。
1999年、福岡の広告 代理店にデザイナーとして入社。育児関係のチラシ広告制作を務める。
2001年、独立のために退社し、有限会社イリスを設立。
2006年、ドリームゲートグランプリ九州予選にて優勝。本選に出場した後、株式会社リトル・ママに組織変更。

会社概要

設立/2001年12月
資本金/1000万円

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