「主人から、 2人で力を合わせて起業をしてみないかと誘われました。
私もずっと仕事をしていたこともあって、専業主婦になるのは何となく
抵抗があったので、一緒に仕事を始めることにすぐに賛成しました」
大手文具メーカーに10年間勤務していた夫の義男さん。
会社に将来性を見出せなくなり退社を決意し、転職を考えるが、
自分のやりたいことが見つからない。
ならば、自分の力を試したいと起業を決心した。
起業をするなら、夫婦で力を合わせてひとつの目標に向かって頑張りたいと、
妻の友里江さんを誘って、新しい花関連のビジネスを立ち上げた。
しかし、事業を軌道に乗せることは難しく、一時は家計を支えるためにアルバイトも経験する。
そ んな時、友里江さんのデザイナーとしての技術を頼って、友人からパンフレット制作や Web制作の仕事が依頼された。
制作物のクオリティの高さにリピーターも増え始め、デザイン制作の仕事が会社のメイン事業となる。
現在は、営業やディレク ション全般を義男さんが受け持ち、クリエイティブは友里江さんが担当。
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【その夢が生まれた瞬間とは】
夫の義男さんは大手文具メーカーで販売促進企画や商品企画開発の仕事に携わり、
毎日誰よりも早く出社する仕事一筋の生活を送っていた。
「10年もたつと、いろいろと会社の内面もわかってきて、将来性を感じられなくなってきたんです。
転職しようと考えたのですが、自分がこの先何をしたいのかがわからなくて……。
それなら、自分への挑戦という気持ちも込めて独立してみようと」
ちょうどその頃、タオルメーカーで商品開発を担当していた妻の友里江さんも、退職することが決まっていた。
「主人から、 2人で力を合わせて起業をしてみないかと誘われました。
私もずっと仕事をしていたこともあって、専業主婦になるのは何となく抵抗があったので、
一緒に仕事を始めることにすぐに賛成しました」
2人で話し合い、当時友里江さんが習っていたフラワーアレンジメント技術を生かして起業することを決めた。
「花屋さんのように、咲いている花ではなく、つぼみの花を市場から仕入れて、
直接消費者に配送するサービスを考えたのです。
手軽に花を注文できる会員制の新しいビジネスモデルをつくって、
拡大していこうというのが主人の考えでした」
HPやタウン情報誌を通して会員募集を行うため、法人化したほうが信用も得られると考え、有限会社を設立。
開業資金は、 2人の貯金でまかなった。
アレンジメントは友里江さんが全般的に担当し、営業や会員集めなどは義男さんが受け持った。
【起業の一歩はどうやって】
しかし、思うように会員が集まらない。
2人で同じ仕事に携わっているため、会社の経営がうまくいかなければ、当然のことながら世帯収入はない。
「会員が集まらないことでかなり落ち込みましたが、そうも言っていられません。
収入を得るために、配送のアルバイトなどをしたこともありました。
そんな状況の中、子供ができたことがわかり、『何とか頑張らないと』と奮起したんです」
当時を振り返って義男さんは言う。
そんな時、知人から友里江さんにデザインの依頼が入った。
「妻 は、前職でデザイナーとしての実績があり、それを知っていた知人が仕事を回してくれたんです。
腕は確かでしたから、デザインの仕事も手がけると知って前職 の仲間から仕事の依頼が入ることも増えてきたんです。
花のビジネスも続けようと思っていましたが、メイン業務をデザイン業務にシフトしてもいいかなと考え 始めました」
早速、義男さんがデザイン業務の営業に回り、企業案内や Web制作の仕事を受注。
成果物の完成度の高さにクライアントからの信頼も得られ、継続して発注してくれる企業も多くなってきた。
「夫婦だと遠慮なく意見交換ができるので、いい物をつくるためにとことん話し合っています。
生活のペースも一緒なので、無理なく仕事を進められることもいいですね」
【その夢は、いま育っている?】
今では、義男さんも営業だけでなくデザイン制作業務にも携わるようになり、以前より大きな仕事を受注できる体制も整った。
夫婦での起業は、会社経営がうまく いかないと世帯自体の収入がゼロになってしまう危険性もあるが、
2人が助け合ってひとつの仕事に取り組むことができたり、家族で一緒に居られる時間が多くなるなど、
メリットの方が大きいと話す友里江さん。
「家族 3人が毎日揃って食卓を囲めることは本当に幸せです。
自宅で仕事をしているから、子育てと仕事の両立もしやすいですね」
一方、義男さんは、大きな仕事を 2人で完成させた時、一緒に達成感を味わうことができ、
仕事の緊張感もあって生活も以前より充実していると感じている。
「前職の時は朝から深夜まで仕事で、ゆっくりと家族と会話を持つ時間も取れなかったんですが、
今では夕食後、子供と遊ぶ時間までつくることができて楽しく過ごしています。
起業したことは間違っていなかったですね」
そんな 2人に今後の夢を聞いた。
「新しい花のビジネスモデルはまだあきらめていません。
もっと多くの人に利用してもらうために、これからも 2人で力を合わせて頑張ります!」
【概要】 | |
有限会社フィールド | |
設立 : | 2000年 5月 |
資本金(当時): | 300万円 |
URL: | http://www.fieldfield.jp |