環境を守る『自転車タクシー』 / NPO環境共生都市推進協会

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

004東京の原宿・渋谷周辺を走る「ベロタクシー」という三輪自転車タクシー。
オシャレな街並みに似合うカラフ ルなボディが「かわいい」と、若い女性を中心に人気。 
渋滞で停まっている車の脇をスイスイ走っていくのが、これまた爽快なのである。

このベロタクシーを運営するのが京都に本拠地を置く「環境共生都市推進協会」というNPO(非営利組織)法人。代表理事の森田記行氏はその仕掛け人である。

 

その起業の経緯だが、ドイツのハノーバー万博に出展されていた自転車タクシーのデザインにすっかり惚れ込んだ森田氏が、地元・京都へこのタクシーを導入することを決意。
2002年に法人格を取得して、事業化にこぎつけた。
しかし、なぜゆえNPO法人なのだろうか? 

「ベロタクシーの存在を知った瞬間、排気ガスを出さない『自転車タクシー』こそ、
都市環境に最適な交通手段だと思ったんです。
そして、極めて環境負荷の低いベ ロタクシーを日本で普及させて、
若い人たちが環境問題を考えるきっかけにしたかった。
だけど、有限会社や株式会社では、『社会のために』というコンセプト に合わないなと思ったのです」

しかし事業化ともなれば、車両の購入、駐車場の確保、ドライバーの人件費などをおぎなうだけの収入が必要になる。
森田氏は、
「社会貢献を前提にしながら、有給で人を雇えるうえに、利益が上げられるNPO法人こそ、最適な法人形態だ」
と思い至った。
そして非営利組織ながら、事業に再投資していくための仕組みや組織を整えた。

環境保全や町づくりの推進という非営利活動分野は、周囲からの理解も得やすく、
企業はもとより自治体や役所の対応まで変化させてしまうほどの影響力をもつことになる。

「たとえば、車両の保管場所を探していたときのこと。「新風館」という商業施設を訪ね、
すんなり話を聞いてもらえたのは、NPO法人のもつ公共的なイメージゆえ。
普通の営利法人だったら門前払いされたかもしれないです

当初、警察からは「三輪では車両の安定感がなくて、危険」、
「後部座席に客を乗せれば、自転車の二人乗りを禁止する京都府の条例にひっかかる」
などの指摘を 受けていたが、徐々に耳を傾けてくれ、京都府公安委員会からも
「走行エリア限定で、自転車の二人乗りを認める」という決定を導きだし、
ようやく自転車タク シーの営業が可能になったというエピソードもある。

こうして2002年 4月、京都での走行を開始したベロタクシーは、続いて東京へ進出。同年10月より表参道での運行をスタート。

ベロタクシーの初乗り料金は、大人300円。
おもな収入源は、車体の広告料だ。
排出ガスゼロのベロタクシーの広告は企業のイメージアップになると、大手企業がこの広告を活用している。
最近では、企業のほうから広告を載せたいという話が来るという。

「まずは、本業に力をいれて知名度を挙げる。そしてノウハウと実績をもって、全国進出し、
大々的に展開していきたい。その過程で民間企業や行政のみなさんとも、
イベント共催などでタッグを組む機会をいただければ嬉しいですね」

【森田 記行氏 プロフィール】

京都府生まれ。建築の専門学校在学中にロンドン留学。
卒業後は家業の着物販売を手伝いながら、地域のイベントをプロデュースするなど、さまざまな社会 活動を行う。
雑誌でベロタクシーの存在を知り、関心をもつようになる。
2000年ドイツのハノバー万博で走行中のベロタクシーの写真をドイツに住む知人か ら送られ、2001年ドイツへ渡り、VELOTAXI社と交渉。提携を取り付ける。
現在このベロタクシーを輸入できるのは、森田さんただひとり。

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