カフェのプロ育成を目指したスクールを開校 / 株式会社佐奈栄学園

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

女性に喜ばれるデザートメニューを開発したい

003「子供の頃からお菓子をつくることが大好き。
クッキーから始まり、パンや洋菓子などレパートリーを増やしてきました。
だから大学を決める時も、自然に食物科を選んで進学したんです」

富田佐奈栄さんは、カフェ開業を目指す人のためのスクール「カフェズ・キッチン」の学園長。多くの生徒にカフェの基礎から専門知識までを教えている。

大学の食物学科卒業後は、食関連の企業に入社したいと考えていた。
そんな時、女性に人気のカフェを展開している銀座コージーコーナーと出会う。

「『メニュー開発をしたい』という私の希望に耳を傾けてくれて、まずは現場研修から始めるよう言われたのです。
店舗では、朝から晩まで食器洗浄を任されたり、スタッフが足りなければホールも手伝ったりと、何でもこなしました」

富 田さんに会社からさまざまなオーダーが出されるようになったのは、入社してしばらくした頃からだった。

「フェアのメニューを考案すること」
「渋谷で流行り のデザートを見つけてくること」
など難題ばかり。

しかし、「自分は試されているんだ」と感じた彼女は、課題を次々と克服。
営業が終了した後も黙々とフェアメニューの考案に取り組んだ。
 

既成概念にとらわれずヒット商品を次々と考案

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「そんな様子を見ていてもらえたのでしょう。
半年後には、念願の本社商品開発研究室に転属になったのです。
けれども喜びもつかの間、異動してすぐに与えられた仕事は、
秋の新デザートメニューの考案でした」

半年間、現場でデザートづくりを見てきたとはいえ分からないことばかり。
最初は、新しい部署で途方に暮れるしかなかった。

しかし、嘆いてばかりもいられない。
さっそくスポンジケーキ、クリーム、果物を大量に仕入れ、格闘の日々。
新しい組み合わせをつくっては食べ、改良を繰り返す毎日だった。

「若い女性に喜んでもらえるよう、多くの種類の材料を使うことがポイントでした。
やっと新メニューが完成すると、今度はネーミングやキャッチコピー、メニュー用の撮影の立ち会いまで、すべて一人で担当したのです」

こうして店頭に並んだメニューは、狙いとおり女性に人気のものとなった。

「たくさんのお客さまが、私の考案したデザートをおいしそうに食べてくれたんです。
その笑顔を見るとつらかったことも忘れて、次も頑張ろう!という気にさせてくれました」

その言葉とおり、今までの慣習にとらわれず新しい発想で生み出した彼女のデザートは、次々とヒットを飛ばし、ついには女性誌にも取り上げられるヒット商品を誕生させた。

「ヒット商品を生み出せるようになりましたが、与えられた中での成功では満足できなくなってしまって。
今度は自分の力で挑戦したいという思いが強くなってきたんです」

そして彼女は次の一歩を踏み出すべく、95年に退社の道を選んだ。
 

カフェ開業について総合的に学べるスクールを

食に関する視野を広げたいと、退職後、カフェの店舗開発をプロデュースしたり、専門学校で喫茶やフードコーディネーター養成の講師を務めた。

「その頃でした。それまで、将来は店を持ちたいと考えていましたが、教える方がより多くの人たちに夢を与えられるんじゃないかと。自分がメニュー開発をした時に一人で苦労したように、カフェが開きたくてもどうしていいか分からない人は多いと思ったのです」

思い立ったらじっとしていられない富田さんは、すぐに行動を開始。
調理実習ができる施設を備えたカフェスクール設立を目指し、
知人に資金繰りや生徒募集の宣伝方法を相談する毎日が続く。
開校費用には退職金や貯金を充て、不足分は親に借金をした。

こ うして96年 8月に東京・世田谷区に「カフェズ・キッチン」をオープン。

カフェ開業を目指すオーナーたちが、コーヒーの淹れ方やメニューの立て方、場所選びや内装な ど、基礎から学べるカフェビジネスコースを開講。
しかも、授業料は開店前のオーナーたちのことを考え、なるべく安くするよう努めた。

ところが開校当初の生徒はたった 6名。

「初めは仕方がないのですが、やっぱり胸の中は不安で…。
このままでは家賃も払えないと弱気になったこともあったんです」

しかしその後、カフェズ・キッチンの噂はあっという間に広まり、募集人員を上回るコースが続出。
生徒は全国から集まり、中には沖縄から受講のために上京、スクール近くのビジネスホテルに宿泊しながら通う人もいるほどだった。

「それほどまでに必要とされているスクールだと実感しました。
みんなカフェ開業という目標に向かって頑張っているので、授業は真剣そのものです」

現在生徒は120名。
そのほか、受講するまで半年以上待っている生徒たちも多い。
卒業生は 400名を超え、30人がカフェをオープンしたという。

「夢に向かって一生懸命頑張っている生徒を見ると、私も休んでなんかいられません。
スクールをもっと大きくして、もっともっとたくさんの人たちにカフェの楽しさを広めたいです!」
 

【富田 佐奈栄さん プロフィール】

東京都生まれ。
日本女子大学家政学部食物学科を卒業し、(株)銀座コージーコーナーに入社。
デザートメニューの開発に携わり、数々のヒットメ ニューを生む。
その後、96年カフェズ・キッチン創立。
2000年、日本カフェプランナー協会設立。カフェプランナーの養成を目的とした資格制度を発足さ せる。
TBS「はなまるマーケット」やNHK「生活ほっとモーニング」等に出演。
上海でカルチャースクールの講師なども務める。

会社名   株式会社 佐奈栄学園
住所   東京都世田谷区太子堂2-24-6
連絡先   03-3413-0378
URL   http://www.sanaegakuen.co.jp
設立   1996年8月
業務内容   カフェビジネススクールおよび通信コースの運営、
カフェプランナー資格制度の運営

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