第87回 グリー株式会社 田中良和 3

トップ

<インターネットの世界へ>
インターネットは確実にくると感じた1995年。
自分の中に、初めて明確な夢が生まれた散

  さすがにこのままじゃマズイと思い、ゲームセンターでバイトを開始しました。変な話、座っているだけで時給850円がもらえる。でも、自分の時間を切り売りしながら、ただお金を得ることを目的に働くことに違和感を感じ、早々に退散することにしました。将来の夢がない自分……。悩んでいた大学1年次に、アメリカへ1カ月の語学留学に行く機会を得ました。この時に僕は、パソコンを使って、インターネットに初めて触れたんです。これは、言葉に表せないほどの衝撃でしたね。やっと「Windows95」が発売された頃でしたが、インターネットは確実に「くる!」と確信。インターネットの世界で仕事をしよう。初めて僕の中に、明確な夢らしきものが生まれた瞬間でした。

 帰国してからパソコンを購入し、早速インターネットについて調べ始めたんです。当時はインターンシップという概念が浸透していなかったので、ネットエイジ(現ngi group)や、ジョブウェブなど、面白そうなインターネットベンチャーを見つけては、「どんなことをやっているんですか?」と訪ね歩きました。ある意味、ひとりで国内インターネット業界のフィールドリサーチを始めたという。そんな活動の中で出会ったのが、現在当社の副社長である山岸広太郎、はてなの副社長の川崎裕一さん、ミクシィのCEO笠原健治さんなどです。そんな彼らと、アメリカのIT業界誌を通販で買ってきては、ネットサービスの未来を論じ合う勉強会を開催したり。僕個人も、メーリングリストや掲示板を運営したり、自分のホームページをつくったりと、どんどんインターネットの世界にのめり込んでいきました。

 早く大学を卒業して、インターネットのサービスをつくる仕事に携わりたい。そんな思いが高まっていました。僕が大学を卒業した1999年は、国内でやっとインターネットがブームになりかけていた頃です。まだまだネットだけをドメインにした会社が少なかったんです。それで、入社したのがソニー・コミュニケーション・ネットワーク(現So-net)。経営戦略セクションに配属され、海外企業とローミング契約とかの業務に就いていましたが、すぐに僕が求めているものがここにはないことに気づいた。ある意味ここは、ソニーという大手企業の子会社、普通の会社なんですよね。僕が夏休み、休暇を取って出かけたアジアひとり旅の最中に、「会社員になる前、ホームページや掲示板をつくっていた毎日のほうが、今よりも楽しかったな」と思ったんです。そもそも僕が行きたかったのは、インターネットを扱う会社ではなく、インターネットベンチャーだったはずじゃないかと。

<楽天へ!>
念願のネットベンチャーに転職し、忙しく働きながら
趣味でつくったSNSが、1月で1万人の会員を獲得花

 その頃、大学時代に知り合った友人が楽天で働いていることを思い出して、話を聞きに行ったんです。当時の楽天は、まだ社員数が50人くらいの、まさにネットベンチャーでした。結局その友人の紹介で、2000年の2月、楽天に転職することに。最初は営業として入社する予定が、入ってみたら、「個人間売買のネットオークションサービスを立ち上げる。田中君はインターネットに詳しそうだからやってみて」と。そういう経緯で、個人向けサービスの開発に関わるように。その後、エンジニアが足りなかったのでプログラミングを覚えながら、ブログサービスやアフェリエイトサービスを立ち上げるなど、僕自身が求めていたインターネットサービスづくりに没頭できる、忙しくも楽しい毎日が始まりました。

 サイトの仕様を決め、企画書をつくり、アライアンスをまとめ、弁護士と相談しながら、仲間と一緒に仕事を進めていくわけです。当時はまだまだ国内ネットサービスの世界は未成熟でしたから、「そういえば、ヘルプページがあったら、問い合わせが減るんじゃないかな?」とか(笑)。自分たちでさらなるユーザビリティの向上を考えながら、一所懸命サービスの精度を高めていきました。そして2003年頃、情報収集していく中で出合ったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の将来の可能性を考えるように。当時、日本のネットコミュニティサービスは、「2ch」を代表とするように、匿名性のものが多く、現実社会とかけ離れた感じがしていました。でも、アメリカではやっていたSNSは、ユーザーが実名で投稿するなど、世の中の生活としっかりリンクしている気がしていたんです。

 楽天の中でも、「ブログですらまだ儲かるかどうかわからない」と言われていて、これは自分が個人で取り組むしかないかなと。独学で勉強しながら、後に産声を上げる「GREE」の開発に着手したのが、2003年の秋。本当にメルマガや掲示板をつくるくらいの趣味のノリで始めたんです。だから会社も止めようがない(笑)。会社の仕事をしっかりこなしながら、夜や休日を使って自宅で作業するわけです。時間的制約が多いことはつらかったですが、それよりも趣味としての面白さのほうが勝っていました。2004年2月には、アルファ版として個人サイト「GREE」をリリース。広報は、友人に「こんなのできたので、使ってみて」とメッセンジャーで伝えた程度だったのですが、クチコミで評判がいっきに広がって、1カ月後には会員数が1万人を超えました。年内に会員数が10万人を超えそうだということがわかった頃、管理者である僕宛に、あるメールが届いたんですよ。

トップ

お気に召したらシェアおねがいします