第4回 株式会社アイチーム・アイテム代表 俳優 伊原剛志 5

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これから伊原剛志が目指すもの
―「ぼちぼち」がビジネスに変わり、次の“志”が生まれた

  昨年の12月1日、麻布十番に新業態「韓すき」という店を開業しました。これは、僕の母親が大阪で十数年営業している店で出している料理。いわば韓 国風すきやきなんですが、韓国本土にもこの料理はなく、大阪に住む韓国の人たちが創り上げたオリジナル料理です。今、母親は癌と闘っています。もしも母が 亡くなっても、この母の味は残すことができるわけです。このおいしいオリジナルの味を、ぜひ東京の人にも味わってほしいと思い「韓すき」を始めることにし ました。近い将来、オフィス街で「韓すき」の大衆バーション店も展開する予定でいます。

 役者をやっていると、映画をつくりたくなるんですよ。4軒目の桜新町店をオープンさせた頃から、飲食事業は揺るがないという前提で、自分の会社で 1年に1本映画をつくる。これを遠い夢ではなく、目標とすることにしました。その目標もそろそろ叶えられる段階になってきました。現在、企画を2本ほど走 らせています。また、知り合いの映画や舞台への投資も検討中です。役者を続けるために個人事業で始めた「ぼちぼち」も、今やビジネスとなり成長を続けて る。そして、自分の映画づくりという新しい志が生まれた。この先、会社もどうなるかはわからないですから、どんどん変わっていいし、変わらなければならな いと思っています。

 役者としての自分は、常にいい役者を目指し、もがき続けています。役者があって店がある。だから、役者の仕事を疎かにしたことは一度もないと自信 を持って言い切れます。役者というこの自分探しの旅は、一生続いていくんでしょうね。ひとつひとつの芝居に真剣に向き合って、戦って、何かを見出して、次 へと進んでいく。この繰り返しです。何をするにも、今この瞬間からが勝負と思っていますから、僕は。

これから起業を目指す人たちへのメッセージ
―夢と志を持つことが第一の条件です

 世の中、仕組みで動いています。なんか違うと思っても、その仕組みから飛び出すのは難しいですよね。でも、それに乗っかっていても成功は手にできな いと思う。例え話をしましょう。僕の家は、神奈川県の逗子にある大工さんに建ててもらいました。4人しかいない工務店ですが、昔ながらのていねいな寄木工 法で、かんなやノコギリを使って家をつくるんです。むくの木を使いましたので、雨の日は作業中止。どんどん工期は伸びて、結局、納期が3カ月半遅れまし た。本当にいいものをつくるには、ある程度時間がかかってもしょうがないということです。建築構造の偽造問題で世の中は揺れていますが、あの人たちに「い いものをつくりたい」という気持ちが少しでもあれば、今回の事件は起こらなかったでしょう。なにをするにせよ、“志”。これがないと一時期パッと売れるこ ともあっても、絶対に長続きはしませんよ。

 これから起業を目指している人は、まずは足元の仕事に100%全力で取り組むこと。そして、周囲を認めさせる。ある日突然、成功することなんてあ りえませんから。近道なんてないんです。20代を頑張らないと、素晴らしい30代は来ないし、30代を頑張らないと、素晴らしい40代は来ない……。そう やって生きていく中で、何かを成し遂げたいという“志”が見つかったなら、まずやってみたほうがいい。途中で壁にぶつかったら、ちょっとだけ休んで、とり あえず前に進む。また壁にぶつかったら、考えて進む……。そうしているうちに、いつの間にか多くの壁を乗り越えている。人生はその繰り返し。あなたの人生 に捨てる部分などないんですから。素晴らしい明日をつくりたいなら、今日を貪欲に生きることです。

<了>

取材・文:菊池徳行(アメイジングニッポン)
撮影:松村秀雄

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