第3回 タリーズコーヒージャパン株式会社 代表取締役会長 松田公太 2

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素晴らしいスペシャルティコーヒーの味をひとりでも多くの日本人に知ってもらうために

 1992年、米国シアトルに誕生したスペシャルティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」。楕円にオレンジとグリーンのストライプのロゴマークを掲げた日 本1号店は、97年8月、東京・銀座のど真ん中にオープンした。そして現在、早くも全国に約300店舗を展開中。この一大チェーンを築き上げた起業家の正 体は……大手資本のバックアップは一切なし、飲食店で働いたのは高校時代のアルバイトのみという元銀行員なのだ。そんな彼が徒手空拳でスタートしたこの挑 戦には、もちろん数多くの高いハードルが待ち受けていた。「食を通じて文化の架け橋になること――」。これが常に彼の“折れない心”を支え続けてきた使命 感だという。今回は、若きベンチャー経営者、フードエックス・グローブの松田公太氏に、起業を志した経緯、大切にしている経営理念、そしてプライベートま で大いに語っていただいた。

<起業という道を選択することになったきっかけ.1>
異文化経験で体得した「食文化」の重要性

 父親の仕事の関係で、7歳からセネガルで、10歳から高校卒業まではアメリカで暮らしました。様々な国へ旅行することも多かったのですが、私はちょっと変 わった子どもで……。フランクフルトに行けばソーセージを食べ、「うまい!」。ドイツ人になりたい。オランダではゴーダチーズにほれ込み、誕生日のプレゼ ントにゴーダチーズをリクエスト。で、オランダ人になりたいと(笑)。「食」っていうのは、その国に親近感を持たせる大切な何かなのだというのは小さな頃 から感じていたんですね。

その一方、セネガルにいた頃、海で父親と取った新鮮な生ウニを食べた時は、現地の人に変な目で見られ、アメリカで刺身を食べていると、「なんで生の魚を食 うんだ。お前らは魚に火も通せないのか?」ってバカにされたりもした。でも、寿司はヘルシーだし、私は本当においしいと思う。この素晴らしい日本の味をア メリカ人に理解してもらうために「全米で展開する寿司チェーンをつくろう!」。そう思ったのが高校時代のこと。「食」で起業しようと思った最初のきっかけ です。

<起業という道を選択することになったきっかけ.2>
日本の素晴らしさを世界に伝えたい

 もうひとつのきっかけは、やはりアメリカで感じたことです。『LIFE』や『TIME』など、現地のメディアで当時の日本人がどう紹介されていたかという と、みんな分厚い黒メガネで、首からカメラをさげて、なぜか出っ歯……算数は得意だけど、スポーツはできない……いわゆるエコノミックアニマル、イエロー モンキー……。日本と日本人が軽視されているわけです。それがすごく悔しくて、私は英語を一所懸命勉強して、スポーツにも精を出してサッカー部ではリー ダー的存在になった。でも、例えばサッカーの試合でヒーローになり私個人が賞賛されたとしてもその場限り。結局、日本人である松田公太ひとりがいくら頑 張っても日本文化への軽視はなかなかなくならない。それで、先ほどの話になるのですが、「食」で起業して日本の素晴らしさを理解してもらうんだと思い至っ たのです。

 起業という過程の中で自分の成長を感じながら、自分が信じたこの思いをどこまで世の中に広められるか挑戦してみよう。これが僕の挑戦の原点ですね。いつか 日本“発”で、“初”のインターナショナルチェーンをつくって、世界中の人たちが子どもの頃の私みたいに、「こんなにおいしいものをつくる日本人はすご い! こんなにおいしいものが食べられるなら日本人になりたい!」と思ってくれる世の中。それができたら初めて、私の挑戦はひとまず達成したと言えるので はないでしょうか。

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